① 社労士試験合格基準 開示データ (平成19年~令和03年) と情報公開審査会答申

第44回(平成24年)社労士試験合格基準の「開示請求から情報公開審査会」までの経緯。及び、開示された「一般非公開」分を含む資料の公開と資格学校との対比分析。

カテゴリ: 雑感(思い向くまま)

2012年11月14日記載

七海さんへ
お元気ですか?
ブログを閉鎖されてから、もう二ヶ月たちましたね。
寂しがっている方が数多くいますよ。

昨年、私の拙い質問にびっくりするほどご丁寧に答えていただいた「TT」です。
本当に感謝しています。

昨年の七海さんのように、
本年の合格基準も多くの高得点者の方が「1点に泣く」結果となってしまいました。
(H25/3/8 追記)
開示データから判明した七海さんの成績は、総得点で 「上位 67位 / 52,028名中」でした。

各ブログや掲示板のコメントをみていると、
結果の不透明さ・理不尽さに意欲を失い
・素晴らしい高得点を取りながらも撤退を考える人
・仕事を失いそうな人
・自信を失い立ち上がれそうにない人
・恐怖・不安・悲しみ・後悔で眠れない人
・選択トラウマに怯える人
・人生に希望を失った人

何年も人生を賭けて頑張ってきた人達の嘆きが満ち溢れています

直接の受験者でない私が見ても心が痛みます。

「これが社労士試験だから」済ませられる人も数多くいますが、
私にはそれが出来ずこのブログを立ち上げました。

過去から、良識のある人達や予備校も「この問題についての意見」や
合格基準の改定案(特に選択の3/5の是非について)を述べられています。

しかし、これらの声が厚生労働省には届いていないのか?聞く耳をもたないのか?
未だ、何の進展も見えません。

そこで、私なりに出来ることから始めました。
憶測や都市伝説でなく真実を知りたい一心 で・・・・。


① まず、合格基準の不透明さの解消のために、復元データと合格基準文書の公開

これに関しては、「平均点や得点分布と合格基準について」厚生労働省から開示データを送付するとの返事がありました。
また、今後の一般公開については、担当部署でないのでお返事できない分らないとの事でした。

この公開文書で合格基準の「理不尽さ」は解消できないかもしれませんが、「不透明さ」の解消には一歩前進すると思います。

基準点算出について、今回の公開文書だけでは不明な場合、更なる開示をとことん請求するつもりです。


②多くの方が以前から述べられているように、「努力した人が報われる」合格基準への改定

「合格基準」に関しては、個人の力ではどうすることもできません
多くの受験者を持つ予備校有識者の方々が力を合わせて、本気で努力した人が報われる合格基準への改定に動いていただきたいと切に望みます。

2012年11月16日記載

2年間家族の受験を見守ってきて強く思ったこと、
それは、「都市伝説の正体」を明らかにしたい・・・・でした。


【都市伝説への雑感】

社労士法って・・・・。
 もし、社労士法がそれほど重要な科目であるなら、
何故、事前に「周知徹底」しないのでしょうか?

社労士さんが相談を受け指導作成する就業規則には、
従業員への「周知義務を怠った就業規則は無効」となるのに、
社労士試験に関しては、「周りの空気を読め・・それが社労士の資質だ!」
なんでしょうか?
 
それなら何故、難易度に差が生じたからと「嘘」をつく必要があるのでしょうか?
それとも、難易度の差の意味には「すべてが含まれる、だから空気を読め・・・」なんでしょうか?
 
それとも、医師国家試験で噂さになる「地雷問題」と同じだ・・・公開する気はない
でしょうか? 

地雷は「オタワ条約」非人道的で全面禁止、廃棄とされているのに・・・・。
国家試験では、何でもありなんでしょうか?

頭の悪い私には、到底理解できません!


一般常識科目って・・・・。
もし、恣意的に一般常識科目の補正がない、補正の優先順位が低いとするなら、

社労士さんに必要な知識は「一般常識」であり、「労働基準法や厚生年金・国民年金」の知識はあまり必要がないと言っているようにしか思えません。
    
本当に、訳が分からなくなってきました!


 補正の目的って・・・・。
もし、合格数や合格率の調整のため「平均点が低い・2点以下の人数が多い」といったことだけを条件として行われるのではないとするなら、
 
100m走 決勝(着順)
 1着 Aさん
 2着 Bさん・Cさん(2人同タイム
 3着 Dさん
 4着 Eさん
 
結果発表、メダル数(3個)の関係で
金メダル Aさん
銀メダル Dさん
銅メダル Eさん
同タイム2着の「B・C」さんは、「メダル数の調整」で参加賞のみとなります。
主催者の絶対的な権限で・・・。

ますます、 訳が分からなくなってきました! すみません。
 

2012年11月19日記載

「救済」って呼び方が
社労士試験の合格基準に「偏見・誤解・上から目線」を生み出しているように感じるから、今後この言葉を使いません。

調べる限り、社労士試験の合格基準に触れている公式な表現は「補正」です。

「上記合格基準は、試験の難易度に差が生じたことから、
昨年度試験の合格基準を補正したものである。」

ここで言う「補正」とは、選択3点以下や択一4点以下だけを指しているのでなく、
総得点基準も含まれています。択一式「総得点46点」ももちろん「補正」の結果です。

社労士試験に「明確な基準点」が正式に発表されていないということは、(追記:平成24年の段階では非公開)
110点満点以下は「すべて補正された合格基準」である・・・と言えますよね。(極論) 

すると、過去からの合格者の全員が、「いわゆる救済された合格者」ってことになりますね。

やっぱり、救済って言葉・・・・なんだか変ですね?


今、気がつきました。
「選択の救済をなくせ!全ての問題は解決する」ってご意見を以前聞いたことがありましたが、それは「難易度で調整しないで科目別の基準点を3点に固定せよ!」と言う事だったんでしょうか?
じゃー、何故2点でなく1点でもなく、3点なんでしょうか? その根拠は何?

話が逸れてきたので元に戻します。


一番重要なことは、補正の適用「有・無」の問題でなく、
「難易度による補正が公正に行われているか、その計算方法が本当に妥当なのか
 ではないでしょうか。

「救済」って言葉がこの本質を覆い隠してしまい、補正が「悪か正義か」の問題へすり替えられてしまっている事が多々あると感じています。

最後に、選択式基準点(例えば、雇用2点も国年1点)も、
「難易度によって公正に補正」されている限り、すべて同等であり、別に、「おこぼれ」や「情け」をもらって合格したわけではない・・・と思います。


だから、私「救済って言葉、使いません!」ドクターK

2012年11月20日記載

根拠の無い「噂」を私は信じません。


自分の目と耳ではっきりと確認するまで信じたくありません。

「トイレの花子さん」も「口裂女」も、信じません。・・・・・怖いから。

しかし、社労士試験の「あの噂」を、今日、信じてしまいそうになりました。



下記の参考文書は、他の方が紹介されていた「厚生労働省」のデータ等から引用させていただきました。
労働省の所管行政に係る規制緩和要望及びその検討状況について
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1201/h0118-3_4/h0118-179.html

発  表:平成12年1月18日(火)
担  当:労働大臣官房総務課

社会保険労務士試験の合格者数

意見・要望等の内容
社会保険労務士などは合格者数制限の疑いが大きいので、資格試験における公平性・透明性を確保するのならば、規制改革委員会が述べるとおりこの点は一層注意していく必要があるものと考える。
社会保険労務士が不足していると感じるので、社会保険労務士の資格取得の門戸を広げていただきたい。
状 況
□措置済・措置予定 □検討中 □措置困難  ■その他
説 明
社会保険労務士試験は、社会保険労務士となるのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的とするものであるので、当該能力を有すると認められる者を合格者と判定しており、事前に一定の合格率を定める等の排除は行っていない。
また、社会保険労務士の需要と供給などの関係で合格者を決定するような運用は行っていない。


厚生労働省労働基準局監督課社会保険労務士係の回答(
情報公開請求への回答ではありません。質問された方への回答です。

社会保険労務士試験の合格基準及び合格者については、「社会保険労務士試験合否判定委員会」において社会保険労務士として必要な能力・知識を有している者を合格者として決定しています。
具体的には、各年度で試験問題の難易度に差が生じることから、試験水準を一定に保つことを目的として、原則的に選択式及び択一式それぞれにおける
各科目合計総得点の平均点及び 各科目の得点分布から機械的に合格基準点を算出し決定ています。


ここでポイントなるのは、
事前に一定の合格率を定める等の排除は行っていない。
 各科目合計得点の平均点及び各科目の得点分布から
機械的に合格基準点を算出し決定しています。

この文言どおりで行われた基準決定だとしたら、
大手資格学校の復元データから見て、
基準点決定の「整合性・妥当性」
が、ますます見えなくなってきました。
・・・・・・・高校1年生の時、数学で落第しかけた私には、特に(本当)


まさか、
「機械的に算出」を凡人が理解することは、フェルマーの最終定理を証明するよりも悪魔的難題なんでしょうか?

まさか、
「機械的に算出」とは、難易度の差に「特殊な変数と特殊な事情」を掛け合わせて算出したって意味・・・そんなことないですよね、これはきっと私の邪推ですよね?

根拠の無い「噂」は信じたくはありません、しかし心の弱い私は「噂」を信じてしまいそうです。神様どうか助けて下さい。

この思いを解消するには、
「受験生全体の復元データと明確な合格基準理由」
を早く見せてもらうしかありません。


情報公開によって、
「トイレの花子さん」は、いなかったと証明されること
を心から望みます。

・・・・でないと、夜中、怖くて、おしっこにもいけません。

2012年11月27日 記載

難易度の補正は、

「パンドラの箱」なんでしょうか、それとも宝物の入った「普通の箱」なんでしょうか、それは、開けてはいけない「禁断の箱」だったんでしょうか、
もし「パンドラの箱」であったとしても、「希望」は・・・・・・・・・・・。

 
【パンドラの箱】

 エピメテウスの家には、プロメテウスが残していった黄金の箱がありました。
黄金の箱は、「病気、盗み、ねたみ、憎しみ、悪だくみ」など、この世のあらゆる悪が閉じ込められていて、それ らが人間の世界に行かないようにしていたのです。・・・・・
するとパンドラは、
「あなたが箱を開けてくださらなければ、わたしは死んでしまいます」と、言い出したのです。
そこでエピメテウスは仕方なく、兄との約束を破って箱を開けてしまいました。
そのとたん、箱の中からは「病気、盗み、ねたみ、憎しみ、悪だくみ」などのあらゆる悪が、人間の世界に飛び散ったのです。
エピメテウスがあわててふたを閉めますと、中から弱々しい声がしました。
「わたしも、外へ出してください・・・」
「お前は、誰なの?」 パンドラが尋ねると、「わたしは、希望です」と、中から声が返ってきました。
実はプロメテウスが、もしもの為に箱に忍び込ませておいたのです。
こうして人間たちは、たとえどんなひどい目にあっても、希望を持つ様になったのです。

http://hukumusume.com/douwa/pc/world/03/17.htm


「本題」に入ります。

司法試験の短答式試験結果の発表では、
「科目別得点分布・合計得点分布」などのデータがすでに公開されています。
社労士試験も「2013年度」から同じように公開することは厚生労働省の判断で十分可能だと思います。是非とも試験結果発表時に同時公開されることを切に願います。


法務省
【平成24年「司法試験」短答式試験結果】

http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00068.html
平成24年司法試験短答式試験結果
得点分布
(1)科目別得点の分布
公法系科目・民事系科目・刑事系科目
(2)合計得点の分布
合計得点
正解及び配点 
 
公法系科目・民事系科目・刑事系科目




【情報公開に関する参考資料】

公開請求で不開示になった文書の「異議申し立て:答申データベース」の中に国家試験・国立受験・採用試験関係の事件が20数件」ありました。


その中で、「得点分布などのデータは開示すべきとの答申が出ていますが、「不開示が妥当」となったものもいくつかあります

「不開示が妥当」の中で一番多い理由は、
 ● 請求されていた文書が存在しない

「特別?」な理由は、
 ● 医師国家試験の「禁忌肢」の不開示
 
本件対象文書1を開示すると,禁忌肢の選択数による合否基準の役割が果たせなくなり,医師国家試験に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるため

 ● 国立大学付属中学の「面接検査の独自の選考方法」のみ不開示が妥当、その他の文書は開示すべき。
 
これを明らかにすると,附属中学校の面接による検査における独自の選考方法が明らかとなることから,それによって受検者が受験対策を講ずるなど,受検者本来の資質の把握が困難となり,入学検査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。



答申の詳細は、ここで確認できます。 ↓

情報公開・個人情報保護関係
答申・判決データベース

http://koukai-hogo-db.soumu.go.jp/search/pck$index.pro$mainMenu

本データベースは、 ○行政機関情報公開法,○独立行政法人等情報公開法,○行政機関個人情報保護法,○独立行政法人等 個人情報保護法に基づき行政機関の長又は独立行政法人等が行った開示決定等に対し、不服申し立て又は取消訴訟等が提起された事案について、情報公開・個人情報保護審査会の行った答申及び裁判所が言い渡した判決を収集・分析し、その結果を検索・閲覧に供するものです。

☆ 不開示が妥当

事件名:医師国家試験について,いわゆる禁忌肢が含まれる問題の分かる文書等の不開示決定に関する件
第1 審査会の結論
第95回から第99回までの医師国家試験について,いわゆる禁忌肢が含まれる問題及び当該選択肢が特定されている文書(以下「本件対象文書1」という。)につき,その全部を不開示とした決定は,妥当である。また,当該選択肢が禁忌肢である理由を示す資料(以下「本件対象文書2」といい,本件対象文書1と併せて「本件対象文書」という。)につき,これを保有していないとして不開示とした決定は,妥当である。


開示すべき

事件名:平成21年新司法試験考査委員会議の内容に係る文書の不開示決定(不存在)に関する件    ← この結論(開示)は重要
第1 審査会の結論
「平成21年6月3日(水)14:00~15:10開催(於:法務省大会議室)の平成21年新司法試験考査委員会議議事要旨」において,「5議事要旨」の「イ成績判定について」で,①「「出席考査委員の合議により」の各出席考査委員の具体的意見内容を記載した行政文書」(以下「本件対象文書1」という。)及び②「「各科目の合計得点が215点以上の成績を得た者を短答式試験の合格に必要な成績を得た者とすることとされた。」との意思決定過程の具体的内容を記載した行政文書」(以下「本件対象文書2」といい,本件対象文書1と本件対象文書2を併せて「本件対象文書」という。)につき,これを保有していないとして不開示とした決定については,本件対象文書2に対応するものとして,別紙に掲げる文書を特定し,更に該当するものがあれば,これを特定し,改めて開示決定等すべきである。


事件名:平成14年度から18年度までの大学入試センター試験の「倫理」の設問ごとの正答率が分かる文書の不開示決定に関する件
第1 審査会の結論
平成14年度から18年度までの大学入試センター試験の「倫理」の「設問別得点率」の表(以下「本件対象文書」という。)につき,その全部を不開示とした決定は,その全部を開示すべきである。


部分開示すべき

事件名:附属中学校(国立大学法人名古屋大学)入学検査の科目ごとの得点分布等の不開示決定に関する件
第1 審査会の結論
「名古屋大学教育学部附属中学校における入学検査の各科目ごとの得点分布と総得点の分布並びに入学ライン(’07,’06年度)」(以下「本件請求文書」という。)の開示請求につき,別紙の1に掲げる文書(以下,併せて「本件対象文書」という。)を特定し,その全部を不開示とした決定については,異議申立人が開示すべきとする部分のうち,諮問庁がなお不開示とすべきとしている部分については,別紙の2に掲げる部分を開示すべきである。


事件名:平成23年度筑波大学入学試験(前期)特定学群特定学類における全受験者及び
合格者の科目別平均点が分かる文書の不開示決定(不存在)に関する件 ←これも重要
第1 審査会の結論
「平成23年度筑波大学入学試験(前期)特定学群特定学類における全受験者及び合格者の科目別平均点がわかる文書」(以下「本件対象文書」という。)につき,これを保有していないとして不開示とした決定については,別紙に掲げる文書につき,改めて開示決定等をすべきである。

コンピュータから出力した別紙に掲げる文書(確認用帳票)に該当する・・・・確認用帳票は,一連の入試業務の過程で組織的に用いられているものであることから,法人文書に該当するものと認められる。・・・別紙に掲げる文書については,当該帳票を出力するためのプログラムとデータが共に保存されていることから,実質的には電子データとして文書が保存されていると判断すべきものと認められる。・・・したがって,別紙に掲げる文書は本件請求文書に該当するものと認められ,これを対象文書として特定し,改めて開示決定等をすべきである。


事件名:面接の評価方法に関する判定基準書面の不開示決定に関する件
第1 審査会の結論
国立大学法人宮崎大学が平成18年度医学部前期入学者選抜試験において実施した面接試験の取扱いを定めた文書(以下「本件対象文書」という。)につき,その全部を不開示とした決定については,別紙に掲げる部分を開
示すべきである。

2012年12月01日記載

「某・掲示板」
の、救済(補正)についてのやり取りを目にして、その時、ふっと、思い浮かべたお話です。(今回だけ「救済」と言う言葉を使います。)
もちろん、「一部の心ない人の書き込み」に対してですが・・・・。

これらもすべて、
「合格基準の不透明さ」「救済との呼び名」 
から、くるのでしょうか?




蜘蛛の糸(芥川龍之介)

御釈迦様はその蜘蛛の糸をそっと御手に御取りになって、玉のような白蓮の間から、遥か下にある地獄の底へ、まっすぐにそれを御下しなさいました。
・・・・・・・・・・
この分でのぼって行けば、地獄からぬけ出すのも、存外わけがないかも知れません。
カンダタは両手を蜘蛛の糸にからみながら、ここへ来てから何年にも出した事のない声で、「しめた。しめた。」と笑いました。ところがふと気がつきますと、蜘蛛の糸の下の方には、数限もない罪人たちが、自分ののぼった後をつけて、まるで蟻の行列のように、やはり上へ上へ一心によじのぼって来るではございませんか。
カンダタはこれを見ると、驚いたのと恐しいのとで、しばらくはただ、莫迦のように大きな口を開いたまま、眼ばかり動かして居りました。

自分一人でさえ断きれそうな、この細い蜘蛛の糸が、どうしてあれだけの人数の重みに堪える事が出来ましょう。もし万一途中で断れたと致しましたら、折角ここへまでのぼって来たこの肝腎な自分までも、元の地獄へ逆落しに落ちてしまわなければなりません。そんな事があったら、大変でございます。が、そう云う中にも、罪人たちは何百となく何千となく、まっ暗な血の池の底から、うようよと這い上って、細く光っている蜘蛛の糸を、一列になりながら、せっせとのぼって参ります。今の中にどうかしなければ、糸はまん中から二つに断れて、落ちてしまうのに違いありません。

そこでカンダタは大きな声を出して、
「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は己のものだぞ。お前たちは一体誰に尋いて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」と喚きました。


その途端でございます。今まで何ともなかった蜘蛛の糸が、急にカンダタのぶら下っている所から、ぷつりと音を立てて断れました。ですからカンダタもたまりません。あっと云う間もなく風を切って、独楽のようにくるくるまわりながら、見る見る中に暗の底へ、まっさかさまに落ちてしまいました。

後にはただ極楽の蜘蛛の糸が、きらきらと細く光りながら、月も星もない空の中途に、短く垂れているばかりでございます。

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